好血圧だより

血圧をネタにする不真面目なブログです

入院中の思い出を語る その8

私は幸運だったのかも

大動脈解離は全身に血を送るパイプ機能が損なわれる病気です。血管の内側が剥がれることによって枝分れ部分がふさがると、その先の臓器に虚血による壊死をおこす恐れがある。これが非常に危険なのです。

心臓へ分枝する動脈がふさがると心筋梗塞になり、以下同じように脳梗塞、脊髄梗塞、腎梗塞、腸管虚血、等であります。人体のすべての臓器は何らかの形でつながっていますから、これらのうち、どれかひとつでも起きれば連鎖的にダメージがひろがることもある。すなわち多臓器不全であります。入院中、いちおう手術が無事済んでも後に多臓器不全で亡くなるケースもあると脅され、背筋が冷たくなったものでした。

私の場合・・・脳はちょっとヘンやけど、これは生まれつきなので大丈夫。心臓も毛が生えてたらしいけど、まず大丈夫。四肢も問題なし。腎臓もオシッコが出過ぎるくらい出てますからOK。唯一、ちょっと心配されたのが腸の動きでした。

全身麻酔による手術のあとの短期間の便秘は珍しくないそうですが、私の場合は不通期間が少々長かったのです。下剤も処方されていたのに、手術後の十日間ほどは腸内列車の走る気配がナシ。

結局は無事に開通しました

始発列車がウンコウするまでのあいだ、先生や看護師さんから「お腹痛くないですか?」とよく訊かれたものです。「ガスは出てますか?」とも訊かれました。「ちょっと音聴かせて下さいね」と若い看護師さんにいきなり寝巻の前をはだけられ聴診器をあてられ、ドギマギしたこともありました。

胸の血管の手術を受けたのに、なんでお腹の心配をされるんじゃろ? 当時は、かすかに疑問に思うくらいで大して気にしなかったのですが、今にして思えば、病院側は腸管虚血を心配していたらしい。ただの便秘ならエエけど、ひょっとして・・・ということですね。「最悪の事態を想定せよ」が危機管理の鉄則なんですな。

結局、ただのベンピだったみたいで、いったん開通したあとはアメリカの貨物列車のように長大な、モノスゴイ快便が続いたのでした。

 

お食事中のかた、ごめんちゃい。お大痔に。