わたしのような気象のシロウトでも、テレビで天気予報の衛星画像を見れば、日本列島の雪のもとは日本海から蒸発する水蒸気だと分かるのであります。
つまり、雪とは日本海が降ってきとるワケですね。空から海が降ってくる。そうじゃ、よし、日本海を浴びにいこう! という酔狂な散歩の風景です。
絶景です。しかも他にひとがいません。貸し切りで日本海が降る様子を胆嚢・・・もとい、堪能できます。
積もった雪が音を吸収するのか、不思議なくらい静かです。自分の足音と息遣いしか聞こえません。そこへ突然風が吹くと、雪が舞い上がって空中に渦を巻き、なんとも幻想的な眺めです。耳元で鳴る風がすすり泣く女の声のように聞こえて、なるほど雪国で雪女の伝説がうまれるのは当然やな、と思いました。
広瀬すずみたいな雪女に会えるかと期待したんですが、ダメでした。
木々を揺らして吹きすさぶ風の音がそんなふうに聞こえた、というのは出来過ぎかな。ただ、寒さ以上に背筋が冷たく感じたのはたしかです。ぞぞぞぞ。
ここは何度かキツネを見かけた場所です。この日も、遠くにそれらしい姿がひょこひょこ歩いて行きます。あっちへ行ってみよう。
四本足とは思えん足跡・・・。でもここを歩いていたのは確かにキツネだった・・・はず。どーなっとるんや? わしゃ化かされたんやろか。
得体のしれない足跡を追って、膝まで埋まる雪のなかを歩き回っていたら、普段と違う歩き方のせいか、股関節のあたりが痛くなってきました。雪女さん、なんとかして。
「おマタ凍らせりゃいいのね?」
いや、金冷法じゃなくて・・・もうエエです。たしか江戸時代の川柳にこんなのがありましたっけ。
雪見とはあまり利口の沙汰でなし
お大痔に。