入院していたのはもう何年も前になるのに、はっきり覚えている事がいくつもあります。病室で暇にまかせて日記代わりのメモをつけていたせいもありますが、普段めったに接するコトのない妙齢女性の大群(つまり看護師さんたち)の働く姿が、えらく強烈な印象となって残っているためです。
これをスケベ根性と思うヒトは、おのれのアサハカな料簡を恥じて頂きたい。わたしゃ当時、彼女らと彼ら(ナースマンもいました)の献身的な仕事ぶりとプロフェッショナリズムに心底感動したのです。ホンマよ。
一見、どこにでもいそうな茶髪でイマ風のおねーさんが、下ネタ駄洒落の相手をしてくれながら点滴を交換するテキパキと無駄のない動作や、静脈に針をいれる瞬間、その眼にキラッとひかる真剣さ。鍛えられたプロの凄みを見せつけられましたな。
そんなある日、わたしはメモ帳にこんなことを書き残しています。
『○月×日 Tさんの指がキレイなのに感ゲキ。まさに救いの手。天使の手。マニキュアも指輪もなし。サイコウに美しい。ナメたいくらい。ネイルゴテゴテの指なんぞブタに喰われろ』
我ながら変態マインドの日記で、当時のわたしは神経まで病的になっていたようですが、“Tさん ” の手の美しさに感激したのは確かです。今もハッキリ覚えております。働き者の有能な指、輝いてました。ナメてはいかんけど。
美容業界からは怒られそうですが『ネイルゴテゴテの指なんぞ・・・』というのも本音です。看護師さんが衛生上の理由から指輪やネイルをやれないのは当然でありましょうが、患者であるわたしは、その職業精神を体現している飾りっ気ゼロの手を、究極に美しいと感じたのであります。
「手のお洒落はできないんです」 と寂しそうに言った看護師さんもいましたが、そのスッピンの手に誇りを持ってほしい。それは命を救う美しさなんですから。
・・・ま、正直、スケベ根性もほんのちょびっとありましたとサ。
お大痔に。